手食文化

食文化

世界の4割の人々は直接手で食べているそうです。この食べ方を、今の文明国と言われる国の住人(日本も含めて何なのでしょうね)は、だれしも非文明的、不作法、不衛星、下品と言ったイメージでとらえるのかもしれないけど、文化、文明の先進国と自ら思っているヨーロッパ人でさえも長いあいだ手食文化をしていた…ほんのこの間まで。それに、箸文化がこれほどに浸透している日本人も何も疑問に思わず手で食べている…おにぎりや握りずし、トースト、ファースト婦フードのハンバーグなどなど、ですものね。

しかし、スイスの友人宅では、とにかく食べにくかろうが何だろうが、オープンサンドでもお皿の上にのったのをフォークとナイフで食べていました。ノルウェーでもちょっと気取るとそうしているみたいです。でも、それは食べにくいことこの上なしです。

世界の歴史の中で、人類にとって手食が基本だったという事も間違いないようです。インドなどでは使用する指も親指、人差し指、中指の3本だけと決められているんだそうです。北アフリカのベルベル族の間では、1本で食べるのは憎しみを象徴することであり、2本指で食べるのは傲慢をを示す、なんてことわざもあるそうです。3本指で食べるのはマホメットの教えに忠実、4本、あるいは5本指で食べるのは大食漢のしるしである、とも言われているそうです。

ヒンズー教では他人が触れたり使用したりする食器は不浄のもの、だから日本人のの様に茶椀と箸を使うという事の方が彼らにとってはよほど不潔とか。したがって食べ物はサラや茶わんに変わってバナナやばしょうの葉に盛り付ける、それとも、使い捨ての素焼きの器に入れて食べるのだそうです。

ヒンズー教徒や西アジアに住むイスラム教徒は食べ物と言うものは神から与えられた神聖なもの、食器や食具は穢れたものであり、手が最も清浄と言った概念を持っているとか。そして、以前はヨーロッパ人も同じように考えていたそうです。手食が最も清潔な食文化である、そういう考え方です。

テーブルクロスの文化が発達し、フィンガーボールと言うものがテーブルの上に並ぶようになったのも、もともとを言えばその手食の習慣から来ていると考えると納得ですね。要するに、手を使って食べていると必然的に何度も手をきれいにしたくなるだろう、という事です。手食をしていたころはテーブルクロスで手を拭くこと、そしてどんなテーブルクロスを汚そうが別に非難されることはなかったそうです。

今、ヨーロッパ人もテーブルクロスを汚さない様に食事をしています。そして、ナプキンの文化が浸透していろいろな種類の美しいナプキンがお店には並んでいます。ちょっと改まるとリネンのナプキンがテーブルを飾りますが。で、美しいテーブルクロスの上に美しいお皿を並べ、これまたピカピカに磨き上げた銀のフォークやナイフ、そしてナプキンのセッティングをするのは成熟した文化を感じる時、私が気に入っている時間です。

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