奴隷について　slaveの語源

日本の歴史において大々的な奴隷制度はなかったと思います。

奴隷と言えば、アフリカ大陸から有無も言わさずアメリカ大陸に連れて行かれた黒人たちのことを一番に思いつくかもしれません。しかし、ヨーロッパ、中近東では、奴隷制度と言うものは新大陸が発見されてから急に出来上がったのではないのです。古代から延々と続いていたのです。つまり、新大陸で多くの労働者が必要だからと急に黒人を捕まえて奴隷にしようと思い立ったのではないという事です。

私が20歳のころ、我が家にやって来たフフランスの友人が13日間の滞在の内、奴隷の話をしたことがありました「日本には歴史を通して奴隷はいなかったんでしょう？」と。そんな短い滞在期間に話すような話題でもなかったような気がしますよね。ヨーロッパには昔から根差していた、心のどこかにある話題なんだとも思います。私のオーストラリアの友人のおばあさんは奴隷だった、と言っていました。彼女はオーストラリア近辺の島の土着の人だったそうです。と、いう事は、やって来たイギリス人がその島の皆を奴隷にしてしまったという事かと私は考えてしまいました。

奴隷と言う英単語slave自体、もともとの語源はスラブSlavで、つまり、奴隷が足らなくなるとスラブ、東欧まで奴隷狩りに行っていたということに由来しています。slaveは酷使して働かされる、と言う動詞にもなっています。

古代、奴隷を持つという事が制度化される前は、戦いなどで捕らえた人間を食料として「保管」していた・・・、食糧状態が良くなり人間を食べなくてもよくなった…そして、彼らを田畑で働かせた方が様々な意味で利得がある、と判断するようになった、それが奴隷制度の始まりです。

古代、戦争で負けた人々はすべて奴隷にされました。奴隷の命など微塵もなく、歴史の中でギリシア・・ローマ時代,ご主人様が危害を加えられようとしているのに何もしなかったその家の奴隷たち400人が全て殺されてしまった、と言う記録が残っています。奴隷と言うものは、そのようなものと考えると、その後の歴史上で黒人たちがどのように扱われたか理解できると思います。

なお、新大陸に送り込まれたこの黒人たちには迷惑な話でしたが、、余り酷使されているインディオたちの惨状を見かねた（とても人間が人間にしたこととは思えないほどです）あるカソリックの神父（スペイン人だったと思います）が黒人なら大丈夫だと思い、それを提案したのが始まりでした。彼も、その結果、黒人たちがあれほどひどい状態に置かれるとは夢にも思っていなかったでしょう。