ノルウェーの典型的ジャガイモ料理

食文化

ノルウェーで頂ける典型的なジャガイモ料理は、味もつけないでたただ煮たものです。主婦はその日のディナーの人数を数えながらジャガイモをゆでます。彼らはよく洗ったジャガイモをゆでると、そのまま皮つきでテーブルの上に供します。そして、銘々は欲しいだけ各々のお皿にジャガイモを取り分けると、皮をむいて食べる、というわけです。これってノルウェーの主婦の手抜きの技なんでしょうか?

中華料理で骨などを入れるツボ様の器が出されるけど、ノルウェーのテーブルにはジャガイモ様に小皿が出されるというわけです。それもその器がテーブルの上を回るのではなく、二人に一皿とかなのです。

ジャガイモ料理はたいていそんなシンプルにただ茹でただけで他の野菜とと一緒にソースをかけて頂くのですが、ソースもある意味手抜き料理かと思ってしまいます。ただ溶かしただけのバターソース、他のバラエティとしては、ブラウンソースかホワイトソースだけです。他にはありません。たったこれだけです。

ノルウェーの主婦って本当に楽だと思います。料理にバラエティがないだけでなく、残った食事は延々と完了するまで食卓に上るのだから。

ノルウェー人にとっては何が何でもどんな時でもジャガイモがあればいいのです。娘の離乳食もジャガイモを潰したものでした。

売られているジャガイモも日本と同じように1キロ入りとか小さな袋もあるけど、日本のおコメ販売と同じような10キロ単位のものもあり布袋入りです。

ところで、日本ではジャガイモを植えるのに1個のジャガイモを芽の所を考えて切り分けますよね。御お義父さんが存命だったころ、ジャガイモを家の裏の畑に植えるというので、随分な量のジャガイモが台所に置いてあった事がありました。

ジャガイモを植えるというたったそれだけのことなのに、これほど文化が違うのかと思ってしまったことがありました。ジャガイモ1個丸ごとを1株としてゴロゴロ状態で植えようとしていたのです。驚きました。日本でジャガイモ植えは経験があったのですが、父が一つのジャガイモを芽が出る処を残して何株にも切り分けていたのを見たことがあったのです。私が彼らのその話をすると日本の方が絶対に経済的だ、と誰もが言いました。

それにしても、ジャガイモを植える事って不思議な方法ですよね。ヨーロッパにジャガイモがもたらされたとき、この植物は、まず種まきをし、育てるという方法ではなく、切った種を植える、と言うような前代未聞の栽培法で、それが怪しまれ、誰もすぐに食べようとしなかったと聞いています。芽の毒に当たった人もいたのでしょう。

ジャガイモは、我々、人類の歴史を変えてしまった食べ物の一つ、という事は誰にも異論のないことだとは思うけれど、コロンブスが新大陸を発見してから、人類の食生活は驚くほどの変化、進化を遂げたのだと思います。

16世紀後半にジャガイモはメキシコからスペインに持ち帰られ植えられたとか。最初は食べ物としてではなく珍しい植物として、つまり、眺めて楽しむ観賞用植物として王立植物園で栽培されたとか。

ジャガイモは、17世紀においては聖書で語られていない不浄の植物として扱われたとのだそうです。種から植え付けをしないというジャガイモの栽培の仕方が不浄の植物に当たるんだそうで。

そういう感覚で植物を植えたりする人はもういないと思いますが、ヨーロッパ人とは、本当にキリスト教に何が何でものっとって生活してきた人たちのような気がします。彼らは入浴をしない、それで結婚式に花嫁さんが手に持つブーケも香りをごまかすためのものだったとか。香水がこんなに発達したのもそれが理由だった、などという事はたいていの人が知っている事でしょう。日本人には到底理解できないこんな習慣もキリスト教にのっとった考えから来ていると理解すればいいようです。

一生の内、一度もお風呂に入らない、と言うような人は今の世では存在しないとは思いますが、これも宗教上の理由からです。湿気の多い日本では考えられないことですよね。

だいたい、入浴用のシャワーの設備なども最初は病人用に作られたとか。ヨーロッパにおいては、今の時代でも毎日お風呂に入らない人たちは大勢います。しかし、誰も変とも何とも思っていないようです。毎日、、入浴しなければならない私たちの方が変に思われているかも・・・です。

ジャガイモが、初めて食料として栽培されたのはアイルランドだそうです。イギリスの統治下にあったその国はどれだけ穀物の収穫が少なかろうと、イギリスから課された分は徹底的に持って行かれていたようだから、まだ未知だった食べ物にも飛びついてしまったという事でしょうか。それがのちの飢餓に至る悲劇を呼んでしまったのではありますが。

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